あぶない!ながら放鳥

家事、趣味、仕事をしながら、ただ毎日決まった時間に「出しているだけ」
そんな放鳥になっていませんか…?

していませんか?ながら放鳥

  • 料理をしながら
  • 飲食しながら
  • 家事しながら
  • ウトウトしながら
  • ゲームに夢中になりながら
  • 出しっ放しのほったらかし
  • 運転しながら

ながら放鳥とは、飼い鳥を放鳥中に、家事や趣味など他の作業を同時に行ってしまうことを指します。
この行動は、飼い主が鳥さんから目を離すことで、気づかない間に鳥にとって危険な状況を引き起こす可能性が高く危険が伴います。

ながら放鳥の重大リスク

ここからは、溺死や火傷など、身近で具体的な危険をお伝えしていきます。

溺死の危険

コップの飲み物のフチに掴まって、飲もうとする愛鳥さん。
知らなければ「可愛い」微笑ましいだけのワンシーンですが
鳥の身体の構造・特性上、目の前に居ても一瞬で溺れてしまう危険があります。

めのう文庫さんの投稿が大変分かりやすいため、ぜひこちらからご覧ください。

飲み物が入ったカップや、水槽の水にフタをせずそのまま放鳥
必要以上に深い水を張った容器で水浴びを行う

コップにはフタ、またはフタ付きのタンブラーやボトルを使う
水浴びは鳥種に合わせて専用品や霧吹き、底が浅く広い平たい容器などで実施する

火傷の危険

加熱後、まだ熱を持った油に飛び込んだ凄惨な事故や、肩に止まっていた愛鳥が、驚いた拍子に調理中のフライパンに飛び込んでしまった事例もあります。

高温のところに飛び込んでしまい、一瞬で絶命してしまうような火傷の方がイメージしやすいかと思います。
しかし鳥の場合、人が火傷しない温度でも炎症を起こす場合があります。見た目の症状がほとんどなく、その場は大丈夫だったと安堵しても、後から腫れ、衰弱をし、足が壊死、傷口からの炎症、二次感染による死亡などの命に関わる場合があり、すぐに病院へ連れていく必要があります。

天ぷら油に関しては、冷めた状態であっても羽根の油膜が失われ、正常に体温を保つことが難しくなります。

低温やけど

ながら放鳥とは違いますが、ヒーターとの接触などによって引き起こされる「低温やけど」にも重篤な危険が伴います。
低い温度であっても、ヒーターをケージ内に入れ、鳥さんが密着できる状態にしないことが必要です。

コーヒーを飲みながら、ラーメンを食べながら、加熱調理をしながら
天ぷら油を(加熱前後に関わらず)フタをせず放置

調理中・飲食中に放鳥をしない

踏んでしまう危険

鳥さんを見失っている状態で不用意に動くと、思いがけない場所におり、誤って踏んだり潰してしまう事故は後を絶えません。
また、取り込んだ洗濯物や、狭い隙間に潜り込んでいくのが好きな鳥さんも多く、家具の隙間に潜り込んでしまい、そのまま亡くなってしまうケースも…スリッパに潜り込んでいることに気が付かず足を突っ込んでしまうことも。
家族に着いていこうとした鳥さんをドアに挟んでしまったり、確認せずソファに座ったりするなどあらゆる事例に繋がります。

鳥さんがどこにいるか把握していない、ほったらかしの放鳥
家事や集中を伴うゲームの最中も放鳥しっ放し

鳥さんの行動や場所を把握しておく、見失った際には慎重に行動する
放置をせず、メリハリのある放鳥をする

無理をしないで

寝不足でも鳥さんを想って、無理をして放鳥していたら睡魔に負けてしまい、気付いたら潰してしまっていた…という恐ろしい事故は少なくありません。
判断力が鈍り、普段なら有り得ないミスを犯すことも。
無理が祟って取り返しのつかないことにならないよう、体調不良や寝不足などがあれば無理をしないことも大切です。

誤飲・中毒の危険

目を離した隙に、取り除けていない想定外の危険物を誤飲してしまうことも。
また、飲食中の飼い主さんの食べているものに興味を示すさまは親しみやすく、見た目にもかわいらしいものですが
一部の食品を除き、人間用の加工食品は鳥にとっては必要のない塩分油分が多く健康を損なう恐れがあります。
アボカドなど、場合によっては中毒などで生命に関わる危険も…

誤飲による事故 誤飲による事故

運転事故の危険

車の運転中に鳥を放すことは、鳥自身にも運転者にも非常に危険です。外の景色に驚いた鳥が想定外の動きをすることで、操作ミスを誘発することもあります。車内では必ずキャリーに入れ、安全を確保しましょう。様子が気になった場合には、安全な場所で停車し、ドアや窓が開かない状態で確認を。

2022年、国内ではキャリーに入れた愛鳥を乗せ動物病院に行った帰りに様子が気になった飼い主さんが脇見運転をしてしまった結果、自転車2台と衝突し、死傷者を出してしまう重大な過失が発生しています。

出しっ放しはNG

放鳥は鳥にとって大切な活動時間ですが、ただケージから出すだけで放置してしまっている状態はおすすめできません。

ケージを嫌がって戻せないから、閉じ込めておくのが可哀想だから、どこにでも着いてきて可愛いから、いつも放っておいても勝手に遊んでいるから…

四六時中出しっ放し、あるいは夜にしかケージに戻さない、というのは大変危険な状況です。
危険を取り除いた鳥さん専用の空間ではなく、人と同じ生活空間であるならば、危険の度合いが格段に変わります。
まずは鳥さんにとっての危険物を、出来る限りで排除しておくのが大切ですが
鳥は非常に好奇心が強く、あちこちを探検したり、物をつついたりします。
そして、驚いた拍子に、普段は飛んでいかないような予測していない方向へ飛び立つこともあります。
そのため、飼い主が注意を払わずにいることで、思わぬ事故に繋がる可能性があります。

ケージの重要性

カゴの鳥は、窮屈で不自由。飛び回ってこそ鳥の幸せ…
昔から、このようなイメージは世の中に浸透しています。
しかし、何世代にも渡って人の手によって育てられてきた飼い鳥と、野生の鳥とは育ってきた環境、学んできた生き方が違います。
放鳥は大切なことですが、ケージは危険を大幅に遠ざけ、安心して過ごせる空間、鳥さんを守るための大切な居場所です。

ケージに戻すときに追い掛け回したり、ケージの外でもお腹いっぱい食べられる状況が続くと、鳥さんにとってもただ閉じ込められるだけの場所として認識されてしまいます。
ケージの外からでも声をかけコミュニケーションを取り、安全に考慮しつつ、時折少しケージ内のレイアウトを変えたり、エサを山盛りいっぱい与えるのではなく、探してもらえる形(フォレイジング)を通して退屈をさせない工夫がおすすめです。

安全な放鳥のポイント

放鳥を安全に行うためには、次の3つのポイントを意識することが大切です。

環境を整える

一瞬で取り返しがつかなくなるような、目の前で見守っていても防げない事故があります。放鳥前に危険物を片付け、窓や扉が開いていないか確認をし、鳥にとって安全な環境を整えることが重要です。
家具の隙間に入り込まないように対策することも◎

常に鳥の位置を把握する

鳥さんがどこにいるかを見失うと事故の原因になります。常に目を配り、家族とも声を掛け合いながら鳥の位置を確認しましょう。見失った場合は不用意に動かず、慎重に位置を確認しましょう。

メリハリのある放鳥を

放鳥中は鳥さんを放置せず、しっかりと関わりましょう。家事などで注意散漫なる場合や部屋を出入りする際は、その都度ケージに戻すのが安全です。飼い主さんとの信頼関係がある場合は、短い時間でも集中して遊ぶことで、鳥さんの満足度を上げることができます。

タイマーを活用

放鳥時間にタイマーを設定することで、時間をより大切にすることができる場合も。5分だけ、など短い時間であってもオススメです◎

まとめ

ながら放鳥は、飼い主が気づかない間に鳥に深刻な危険をもたらすことがあります。
誤飲や火傷、溺死など、日常生活の中で起こり得るリスク、楽しい日常である放鳥の時間で、一瞬で取り返しがつかなくなることを理解し、可能な限りの危険を取り除いた上で、放鳥中は常に鳥の行動に注意を払うことが必要です。

さらに、放鳥時間にはしっかりと鳥と向き合い、時間が短くても、その質を高めることが重要です。部屋の出入りや作業中にはケージに無理なく戻る習慣をつけることで、お互いにストレスなく、より安全に過ごすことができます。