ロストの現状、原因

鳥の飼い主として、最も避けたい事態の一つが「ロスト」、つまり愛鳥を迷子にしてしまうことです。
ここでは、起こっている現状、その原因についてお話させてください。

ロストの現状

ペットについて「探しています」という情報を求める張り紙を、お店や動物病院などで見かけたことがある方も多いでしょう。また、ネット上でも、逃がしてしまったペットの情報を求める飼い主さんの投稿が溢れています。

鳥の迷子の現状について、2018年から2024年2月28日までの期間に、LOSTPET.jpのデータベースには約11,878件の迷子ペットの投稿があります。その中で、犬の投稿は932件、猫は3,088件ですが、鳥の迷子の投稿は7,667件にも上ります。飼育率が低いはずの鳥が、迷子の投稿では圧倒的に多いことが明らかです。

ロストが多い理由

鳥の迷子が多い背景には、以下のような要因があります。

飛ぶことができる

飼い鳥には飛翔能力があり、最もポピュラーな小型のセキセイインコですら、時速約48キロメートルに達することがあるといわれています。危険には非常に敏感で、些細なことで驚いたり、パニックになり本能的に飛び立ってしまうことがあります。

クリッピング

クリッピング(羽切り)は鳥の風切り羽根をカットし、飛翔能力を制限する方法です。
ここでそのものの是非には触れませんが、少なくともロスト対策としては推奨できません。
断翼ではありませんので、生涯全く飛べなくなるわけではなく、伸びてくる都度カットする必要があります。(※
完全に飛べない状態とは異なるため、外との通路があればロストに繋がります。
長くは飛べないため、保護ができる確率は高まるものの、外敵から逃げることは格段に難しくなり、危険にさらされるリスクが高まります。
ロスト対策として効果を期待すると油断を誘い、取り返しのつかない事態を招きかねません。
クリッピングの有る無しに関わらずロスト対策は徹底をする、という前提を守る必要があります。
※誤った切り方をすると大ケガや大量出血に繋がります、信頼のおけるショップや獣医師など専門家に依頼してください。


外との通路がある

窓やドア、ケージから外に出られる環境があると、わずかな隙間から外に飛び出してしまいます。
「外との通路」はもっとも基本的なことで、逆に言えばこれさえ防ぐことができればロストは起こりません。

以下の事例を含め、全て「外との通路」が繋がってしまったことによりロストが発生します。

ロストの事例
  • 窓が開いている状態で放鳥した
  • 放鳥しているときに窓やドアを開けてしまった
  • 宅配便が来たので肩に鳥を乗せたまま玄関を開けた
  • キャリーの持ち手を持って移動していたら底が外れた
  • 日光浴中にケージが倒れて分解した
  • 車から下ろすときにキャリーの扉が開いた
  • 鳥がケージから脱走しているのに気づかず窓を開けた

今まで大丈夫だったから

どこに行くにもついてきて、短くない月日を愛する家族のように共にしているうちに
「大丈夫だった」を積み重ねていくうちに、飼い主さんの油断と慢心を誘います。
ロストだけでなく、一瞬にして取り返しのつかない事故が起こる可能性があることを忘れてはいけません。
どれだけ懐いている鳥でも、予測不能な行動を取ることがありますので、常に最悪の事態を想定して対策を講じることが大切です。

油断の一例
  • これまで窓を開けても外に出て行かなかったから
  • 自力でケージから出るなんてうちの鳥はしたことないから
  • クリッピングしているから大丈夫
  • まだ飛べないヒナだから大丈夫

先に述べたクリッピングされた状態、そしてまだ飛び始めのヒナであってもロスト事例が多くあり、運良く保護されたなかにもそういった迷い鳥が何度も報告されています。
「少ししか飛べない」ではなく「少しでも飛べる」と認識し、油断せず対策していきましょう。

まとめ

ロストの現状と理由についてお伝えしましたが、これはどの飼い主にとっても重要な問題です。日常の小さな油断や、外との通路に対する注意不足が、愛鳥の安全に大きな影響を与えることがあります。しかし、正しい対策を知り、実行することで、こうしたリスクを大幅に減らすことができます。

「守ろう、ことり。」の活動目的は、飼い主さんが愛鳥と共に、より長く安全で幸せな生活を送ることです。
防ぐための具体的な対策のお話をする前に、ロストされた愛鳥はどうなってしまうのか、飼い主さんだけでなく、関わる人々にも影響が及ぶということ、最も苦しい、けれど大切なお話をさせてください。