2024年11月16日(土)17日(日) 愛鳥祭出店

保護の負担と現実

保護される幸運

迷子鳥が保護されることは、実際にはかなり幸運なことです。
鳥が外敵から逃れ、安全な場所にたどり着き、人間に気付かれるまで、多くの偶然が重なります。
保護される鳥の多くは、人懐っこい性格や、運良く民家や学校などの建物に飛び込んだ場合です。しかし、これも全体の半分にも満たないのが現状です。
保護されたからといって、すぐにハッピーエンドとはなりません。この記事では飼い主さんではなく、突然保護をすることになった方の具体的な負担について触れていきます。

保護主さんの負担

保護された鳥が直面する現実は厳しいものです。保護された後も、飼育環境を整えることだけでなく、健康状態の確認やストレス管理が必要です。
すでに飛べず、手で掴めるほどに衰弱していたり、襲われたトラウマを抱えていたり、そもそも人馴れしていなかったり。
保護主さんが根気よく、適切なケアをする必要があります。
また、飼い主さんがすぐに見つからない場合、長期的な保護が必要となり、保護主さんの負担は大きくなります。
特に鳥を飼ったことがない人が保護主になるケースが多く、知識がないために適切な対応が難しいことが多いです。

コストと労力


保護主さんが負う負担や労力は軽視できません。
保護主さんが自宅で鳥を一時的に保護する際のコストや時間、精神的負担は大きいものです。特に、健康チェックや必要な治療を提供する場合、費用もかかります。
また、保護主が適切な知識を持っていない場合、再ロストの恐れや、鳥の健康を損なうリスクもあります。
さらに、先住ペットがいる場合、感染症のリスクを防ぐために隔離や検疫にお金と労力がかかります。
費用を請求するためには領収証を取っておく必要がありますが、飼い主が現れなかった場合はそのまま自己負担となります。
そして、費用を請求しても相手が「鳥を病院に連れていく・遺伝子検査をする」という前提の認識や価値観の違いから、トラブルに至ってしまうこともあります。

法的手続きと現実

7日以内に拾得物届を提出する必要があります。
届け出をしないと拾得者の権利を失います。また、警察から「なりすまし防止のために保護情報はネットにあげないで」と指示されることも少なくありません。
原則として3ヶ月以内に飼い主が現れなかった場合、保護主に飼養の権利が渡されますが、警察署の判断で10日~2週間程度に短縮されてしまうこともあります。

遺失物について(警視庁)

多くを求められる

保護主の投稿に対して「詳しい場所はどこか?」「警察へ」「病院へ」「飼い主を探して」と一斉にコメントが殺到し、圧倒されてしまうことも問題視されています。ある種の炎上のような、押し付けられたその重圧に耐えることは容易ではありません。

保護主に対してあれこれと指示を出すのではなく、求められたことに対して適切な回答や具体的なサポートを提供することが重要です。保護主の生活や立場、考え方の違いを尊重し、押し付けることなく、必要なときに無理のない形で選択肢を伝えることが大切です。何も具体的なサポートができない場合は、一歩引いて見守ることも必要です。

保護主さんの声

保護と看取り

衰弱しきった状態で保護をし、短い時間に出来る手を尽くしてくださった上で、保護主さんがそのまま看取ってくださるケースもあります。
時には「飼い主さん、力及ばずごめんなさい。あなたの大切な鳥さんのご遺体を、こちらで預かっています。どうか届いて」という切実な投稿も。

保護から、鳥沼へ

この活動を続けているうちに
「実は、過去に保護した鳥さんがきっかけで、全く興味がなかった鳥さんが大好きになって…」というお話を何度か伺ってきました。
飼い主さんは現れなかったけど、前のお家できっと可愛がられてたんだろうと思うんです。と切ない顔で教えてくださる方もいました。
保護とは幸運なことですが、無関係の方に少なくない負担をかけてしまうことでもあり、トラブルも生んでしまう要因にもなります。
一方で、鳥に全く興味がなかった方の心を溶かすことも、事実としてあり否定するものではないと考えます。

まとめ

この記事を通じて、保護主さんのご負担や、関わり方について考える機会になれば幸いです。

「帰ろうことり」では、迷子鳥の保護から飼い主への返還までの手順や、保護主としての役割について詳しく解説しています。ぜひ、ご参考にしていただき、一羽でも多くの迷子鳥が無事に飼い主のもとに帰れるようご協力をお願いいたします。

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